
地域の交流会、子どもの居場所づくり、高齢者の見守り、防災活動などを続けるには、活動する人の思いに加えて、会場費や備品費などの資金も必要です。
行政の補助金や民間の助成金だけでなく、地域住民や企業が寄付によって支える仕組みが広がれば、地域活動の選択肢も増えていきます。
一方で、
「日本には寄付文化が根付いていない」
「寄付は災害時や特別な人がするもの」
という見方もあります。
では、本当に日本には寄付文化が根付かないのでしょうか。
この記事では、寄付文化を寄付総額の大きさだけで捉えるのではなく、寄付を一度きりの支援で終わらせず、地域との継続的な関わりにつなげる条件を考えます。
寄付者だけでなく、助成金を申請する活動団体が果たす役割についても解説します。
- 日本で寄付文化が根付く可能性があるのか知りたい
- 地域活動への寄付を、継続的な関わりにつなげたい
- 助成金申請者が、寄付者や地域住民へ何を伝えるべきか知りたい
日本に寄付する人がいないわけではありません

内閣府の2025年度調査では、2024年の1年間に寄付をした人は35.3%でした。
寄付をした分野では、「まちづくり・まちおこし」が28.0%で最も多く、「災害救助支援」「保健・医療・福祉」が続いています。
参考資料
内閣府「2025年度(令和7年度)市民の社会貢献に関する実態調査報告書」
この結果から、日本にも「社会の役に立ちたい」「地域を応援したい」という意思があることがわかります。
ただし、寄付経験者の年間寄付回数は「1回」と「2回」で55.0%を占めています。
寄付をする人がいても、その行動が日常の習慣や継続的な地域参加になっているとは限りません。
寄付文化が根付いているかどうかは、寄付総額だけではなく、支援を選ぶ人と地域活動との関係が続いているかで考える必要があります。
寄付文化は、寄付を地域参加として選べる環境から育ちます

寄付を特別な善意ではなく、参加方法の一つにします
日本にも、寄付文化がさらに根付く可能性は十分にあります。
そのために必要なのは、寄付を「余裕のある人が多額のお金を渡す行為」として扱うのではなく、地域の課題に関わる参加方法の一つとして位置づけることです。
地域活動への参加には、運営への協力、催しへの参加、情報共有、物品提供など、さまざまな方法があります。
寄付もその一つであり、活動現場へ行けない人でも、資金を通じて地域に参加できます。
安心して支援先を選べる環境を整えます
寄付文化を広げるには、寄付者の意識だけでなく、活動団体が寄付を判断しやすい情報を示すことも必要です。
活動の目的、寄付金の主な使い道、目標とする変化、活動後の報告方法が分かれば、初めて寄付をする人も安心して支援先を選べます。
寄付を呼びかけるときは、熱意だけでなく、支援によって何が行われ、いつごろ成果を確認できるのかを伝えることが大切です。
善意があっても、支援への入口と次の関わり方が見えにくいからです

寄付の意思だけでは、行動につながりません
内閣府調査では、寄付をした理由として「社会の役に立ちたいと思ったから」が51.8%で最も多くなっています。
実際に寄付するには、応援したい活動を見つけ、信頼できるかを判断する必要があります。
寄付の方法は、「クレジットカード等の利用(ポイント・電子マネーの利用を含む)」が27.5%、「銀行・コンビニ等での振込み・口座引落とし」が21.7%、「寄付付き商品の購入」が20.1%となっており、支援への入口は多様化しています。
しかし、手続きが簡単になるだけでは、寄付文化は根付きません。
何を応援できるのか、寄付後にどう関われるのかまで見えることが必要です。
活動内容と支援による変化を具体的に伝えます
内閣府の同調査では、寄付を行う場合に必要と考える情報として、「寄付先の活動内容」が70.9%、「寄付により期待される効果」が48.4%、「寄付先の財務状況」が27.0%となっています。
寄付を検討する人が安心して支援先を選ぶためには、団体の熱意だけでなく、活動を判断するための情報が必要です。
活動団体が「運営費が足りません」「助成金が終了します」とだけ伝えても、自分の寄付によって何が変わるのかを想像しにくいものです。
寄付者が知りたいのは、不足している金額だけではありません。
- 誰がどのような課題を抱えているのか
- 活動によってどのような状態を目指すのか
- 自分の支援がどの部分を支えるのか
- 活動後に地域へ何が残るのか
このような情報があれば、寄付は「団体の赤字を補う行為」ではなく、必要な地域活動を一緒につくる行為になります。
助成事業の実績を、地域へ伝える情報として活用します
助成金を活用した活動では、実施回数や参加人数だけでなく、参加者の声や地域に生まれた変化も記録します。
これらは、助成元へ提出する報告書だけでなく、地域住民や寄付者へ活動の価値を伝える情報としても活用できます。
助成事業で得られた実績を分かりやすく公開することが、団体への信頼を高め、次の寄付や協力につながります。
具体例|「知る・選ぶ・確かめる・関わり続ける」流れをつくります

1.活動を知る入口を増やします
まず、地域にどのような課題と活動があるのかを知らせます。
ホームページやSNSだけでなく、地域の広報紙、活動報告会、公共施設の掲示、口コミなども活用します。
活動内容だけでなく、「なぜ始めたのか」「誰が取り組んでいるのか」を伝えると、地域住民が活動との接点を見つけやすくなります。
2.自分に合う支援方法を選べるようにします
寄付だけを唯一の支援方法にせず、単発寄付、賛助会員、企業協賛、物品提供、ボランティア、情報共有など、複数の入口を示します。
大切なのは、すべての人に同じ関わり方を求めないことです。
時間、経験、立場、家計の状況に応じて選べることが、地域参加の裾野を広げます。
3.支援後に、何が起きたかを確かめられるようにします
活動団体は、会場費や材料費などの使い道に加えて、活動によって生まれた変化を伝えます。
「何人参加したか」だけでなく、「初めて参加した人が次回も来てくれた」「住民同士で声をかけ合う関係が生まれた」など、数字に表れにくい変化も大切です。
写真や参加者の声を添えることで、寄付者は支援が地域に届いたことを確かめられます。
4.次の関わり方を案内します
報告の最後には、次回の活動予定、見学や参加の方法、継続寄付、賛助会員、情報発信への協力などを案内します。
これは、繰り返し寄付を求めるという意味ではありません。
寄付後も地域との関係を続けられる選択肢を示すことです。
寄付者が参加者や協力者になり、活動参加者が後から寄付者になることもあります。
新しい資金調達は、資金と共感を同時に育てることです

地域活動の資金調達を、目標額を集める作業だけで終わらせてはいけません。
寄付をお願いする過程には、地域課題を伝え、活動の必要性を共有し、応援する人を増やす役割があります。
そのため、資金調達の成果は、集まった金額だけでは測れません。
活動を知る人、情報を広める人、参加者や協力者が増えることも、活動を続けるための大切な基盤です。
新しい資金調達とは、活動に必要な資金を集めながら、地域の共感者や協力者を増やしていく取り組みです。
まとめ|日本の寄付文化は、身近な地域との関係から根付きます

日本の寄付文化は、海外と同じ形を目指さなければならないものではありません。
身近な地域課題を知り、応援したい活動を選び、無理のない形で支援し、その後の変化を確かめることが大切です。
活動団体は、寄付や助成金を受け取って終わるのではなく、活動の成果を地域へ報告し、次に関われる入口を示します。
この積み重ねによって、寄付は特別な行為ではなく、地域を一緒につくる日常的な参加方法になります。
寄付文化が根付くかどうかは、寄付者の意識だけで決まるものではありません。
寄付を受け入れる団体による分かりやすい説明、支援後の報告、参加しやすい仕組みまで含めて、地域全体で育てていくものです。
「支えたい人」と「活動したい人」がつながることで、信頼と共感が地域の中に積み重なっていきます。
それが、地域活動を支える新しい資金調達のかたちです。
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