2021年度、別府3町内会の有志で立ち上げた『べふ3福祉のまちづくりプロジェクト』
この団体が、『住民と多職種との連携・協働』をテーマに掲げたモデル事業を行った。
専門用語的に言えば『地域カンファレンス』である。そのカンファレンスの名を『生きる力支援推進会議』と名付けた。
Aさんが病院から退院をする。その際、多くの病院では、家族と専門職だけでカンファレンスを行い、Aさんの在宅生活を支える為に誰が何を..と役割分担を決め、連携がスムーズにいくように話し合う。これは病院内で行う場合が多い。
ここに疑問がある。
なぜAさん宅で行わないのか?
なぜAさんの隣近所の方や友人等を呼ばないのか?
Aさんが在宅で生活を行う上で、隣近所の方の『生きる力の見守り』は大切であり、それがないと定期でAさん宅を伺う専門職だけでは日頃のAさんがわからないし、Aさんの安否もわからない。
病室であればナースステーションがあり、そこから病室までさほどの距離のため、定期巡回が可能であり、様子を掴みやすい。また多床室であれば、隣のベットの方が様子を把握している。
病室と在宅、専門職がいるステーションからの距離で、Aさんに対してのアプローチ方法が随分と変わるのだ。
そのような理由でこの様なカンファレンスが必要になる。しかし、そのカンファレンスの意義を専門職が感じていたとしても住民の方々がその会議の価値を感じ取ってくれなければ、専門職の1人よがりとなる。
そこで始めたのがこの『生きる力支援推進会議』というモデル事業であった。
地域の方々に『私達も、貴重なチーム在宅のメンバーだ!』を意識して頂ける事を目標にと試みた。
約1年間行い続けた結果、町内会長さんを始め、このプロジェクトに関わって下さった皆様にはその意図が伝わった。
現在、町内会で暮らす方で、生きる力が弱ってきている住民の方に対し、今後どのようにサポートしていけばよいか.. について、会議というかしこまった形式でなく、電話や立ち話の中からポイントだけを伝えあうような『生きる力支援推進会議』を行っている。
現在、あるご夫婦の支援を行うために日々話し合っている。
先日、そのご夫婦のお子様方と話をする機会を設けて頂いた。お子様方は、親が老いることは初めての経験。人が老いるとは.. どのような考え方で何を優先すべきか?何をすべきか?等々について、約60分の貴重な話し合いを行い、お互いに通じ合えたのではないかと感じた。
こうやってお子様方と早い段階でお話をさせて頂ける事になったのは、繋いでくださった方が『生きる力支援推進会議』で専門職の方と連携する意義を感じ取って下さったお陰である。
この様なことを継続的に行う事ができると、早め早めにそのご家族をサポートする地域体制がつくれる。そして専門職は、その基盤の上に加わるコトだけで良い。
こうなると、在宅時代を迎えても皆で力を合わせながら明るく在宅介護が出来るのではないだろうか..
住民と住民。
専門職と専門職。
住民と専門職。
この臨機応変なチーム構成がいつでもできる。そのような志免町でありたい。(事務局 鷹尾)